このリソースはアレクシオン・アストラゼネカ・レア・ディジーズが作成したものです。
視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、脊髄、視神経および脳の炎症と脱髄を特徴とする稀少な慢性自己免疫性神経疾患です。NMOSDの主な臨床的特徴には、視神経炎の再発性発作または再燃、横断性脊髄炎、持続的嘔吐、難治性吃逆などがあります1-3。
発作は極めて消耗性が高く、失明や麻痺などの後遺障害につながったり2,3、場合によっては死に至ることもあります4。 最初の発作から5年以内に、患者の約半数が失明し、車椅子が必要になります。ただし、NMOSDをまったく治療しなかった場合、3分の1は死亡してしまいます3。
NMOSDの一部である血清陽性NMOSDには、アクアポリン4(AQP4)を標的とする循環IgG1自己抗体が関与しています。AQP4は中枢神経系(CNS)全体に存在するアストロサイトの細胞膜に発現する双方向性の水チャネルタンパク質です5,6。
NMOSDの急性発作とは、患者が報告または客観的に観察された神経学的徴候や症状の新たな発現か、もしくは他に認識されている原因がない場合にNMOSDに起因する既存の神経学的症状の悪化をいいます7。
急性発作の疑い
急性発作が疑われる症例では、緊急の神経学的評価を実施しなければなりません8。
医療従事者向け情報
再燃のたびに蓄積されるNMOSDの身体障害を予防し9、臨床転帰を改善する10,11ためには、急性発作の迅速な治療が不可欠です。急性炎症を軽減することで、回復不能の損傷を予防できる可能性があります12。
臨床症状に応じて、治療担当医師は次のような手順を検討することが可能です。
- 高用量の静注ステロイドによって速やかに発作をコントロールできる場合があります1, 13, 22。
- 迅速な改善が見られない場合や、神経障害が重度の場合は、早い段階で血漿交換を実施し、最適な回復を目指さなければなりません1,10,13。血漿交換は通常、隔日で5回実施します13。
- 血漿交換はステロイドと併用する場合もあります12,14。
- 免疫グロブリン静注(IVIgG)療法が用いられていますが、裏付けとなるデータはほとんど得られていません15。
視神経や脊髄が関与するいくつかの疾患は、NMOSDの一部の臨床的特徴に似ている場合があります18,19。これらの疾患とは、脳卒中や感染症のほか、神経学的自己免疫疾患や全身性の自己免疫疾患(例えば多発性硬化症[MS]や全身性エリテマトーデスなど)です18,19。その他の鑑別診断として、圧迫や毒性、あるいは代謝性の原因が考えられます20,21。
すなわち、NMOSDの存在を確定するためには鑑別診断が重要になります。特に、この判断は治療に重要な影響を及ぼすからです。
すなわち、NMOSDの存在を確定するためには鑑別診断が重要になります。特に、この判断は治療に重要な影響を及ぼすからです。
NMOSD患者さんは、髄膜炎菌感染症への感受性を増大させる可能性のある特定の薬剤の投与を受けている場合があります19。医師は、患者さんの症状が髄膜炎菌感染症によるものである可能性に十分に注意しなければなりません19。